土壁のつくりかた
施工編・土を塗る

塗厚と工程
昔から壁は「一回の塗り厚は薄く、工程は多いほどよい」といわれています。壁土は一度に厚く塗ると乾燥収縮が均等に進まず、平滑な面がつくりにくいだけでなく、割れが発生しやすいからです。
工程は乾燥状態を確かめながら「1.荒壁塗」→「2.裏返し塗」→「3.貫伏せ・大直し塗」→「4.中塗り」の順序で進められる例を多く見ますが、屋外側から塗り始める地域もあります。工程を短縮するために1と2,2と3の工程を続けて行うこともあります。

1.荒壁塗り
荒壁土を塗る
・裏側にはみ出すまで押し込むように塗ります。
・はみ出した土は撫でつけて裏返し土を塗りやすくしておきます。





荒壁土を塗り終わった状態

2.裏返し塗り
裏返し土を塗る
・屋外側は裏返し塗で終わることが多いため周辺部を入念に塗っておきます。



3.貫伏せ・大直し塗り
大直し土を塗る
・貫部分は塗り厚が薄くなるため藁などで補強します。(貫伏せ)
・塗り厚が確保できない場合など、貫伏せと大直しの工程を一度で済ますこともあります。



大直し土を塗り終わった状態

4.中塗り
中塗り土を塗る
・中塗りの目的は、上塗りの下地となる平滑な面をつくりながら、耐力壁としての強度を確保することがです。
・中塗り土の塗り厚は土壁の耐力に影響を与えます。
・チリしゃくりを定規にすることで塗り厚の調整が容易になります。



中塗り土を塗り終わった状態