土壁のつくりかた
施工編・軸組と貫

軸組

 軸組は土壁を拘束して土の耐力を向上させます。軸組製作の要点は仕口(接合部)にあります。仕口の役割は次の二点です。
1.変形に対して材の「めり込み」などにより抵抗する。
2.変形が進んでも接合部の状態を維持する(外れない)。
 建物に水平力が働くと土壁は変形し、軸組接合部に大きな引抜き力が発生するので特に2が重要になります。梁や土台に差しこむ柱の枘(ほぞ)はなるべく長枘とし、込栓や接合金物を用いるなど柱の引き抜き力に応じた対処が必要です。最近は小型で性能のよい接合金物が開発され、土壁を痛めずに込栓と併用できるようになりました。
 土壁の軸組には、貫穴、間渡し竹を差しこむ穴、散りしゃくりなど、後の工程に対する措置が必要です。これらが正しく施工されていないとよい土壁はつくれません。

 貫は小舞と共に土壁の下地になります。壁土は大変重いので施工中に土が下地と共に垂下したり膨らんだりする恐れがあります。これを防ぐために縦間渡し竹を貫に釘で固定し、壁の巾が3尺を越える場合は中央に縦貫や間柱を入れるなどの対処が必要です。貫には構造材としての役割もありますが、柱を貫通して連続させないとあまり効果はありません。通常の寸法(巾15ミリ高さ105ミリ)の貫は下地材と考えた方がいいでしょう。貫を厚くするとその部分で土の塗厚が減り、土が割れやすくなるので注意が必要です。

土台と柱と貫

長枘(はがほぞ)

接合金物

貫の「こじり」による抵抗


土壁のつくりかた
施工編・竹小舞を搔く

竹小舞の行程

①軸組の「貫穴」や「差込穴」を確認

②ヨコ間渡し竹を入れる

③タテ間渡し竹を入れる

④タテ方向に割竹を入れ間渡し竹に縄で編み付ける

⑤ヨコ方向に割り竹を入れ間渡し竹に縄で編み付ける

間渡し竹

ヨコ間渡し竹は曲げ確実に穴に差す

確実に差込穴に差す

タテ間渡し竹を差込穴に差す

貫に釘止めする

割竹

縄は緩みがないようにしっかりと編む

割竹巾は7分(約21ミリ)程度を使用する

割竹間隔は荒壁土がはみ出す程度あける

緩みがないようしっかりと編む